jade . [ アッシュ ] BANANAFISH
第2章 [ meeting ]
無意識に手を伸ばしていた。それに気付いた彼は此方を向いて優しく笑みを浮かべた。そうして窓際から此方へ向かってくる。
「起きたのか。」
『うん、おはようアッシュ。』
「おはよう。カエデ。..怖い夢でも見た?」
優しく頭を撫でてくれる彼。怖い夢は見ていないけれど、何故か彼がどこかに行ってしまうような、そんな風に思ってしまう。ベットに腰をかけた彼に体を起こしてそっと、抱き着く。
『んーん..。お願い、少しの間だけ..』
「..少しと言わずずっとでもいいさ。カエデの気が済むまで。」
『ありがとう..。...アッシュは、どこにも行かないで、私を..置いていかないで..。』
「..あぁ。ずっと一緒だ。置いていったりしない。」
彼の優しい言葉に安堵して眠気が襲ってくる。うとうととしていたのがバレたのか背中をテンポよくぽんぽん、とされればさらに眠気が増し、先程起きたばかりだと言うのに再び意識を手放した。
「..おやすみ、カエデ。今度はいい夢を。」