第17章 撫子
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『...ん...。』
今日も安心する香りに包まれて目覚める朝。
いつもと違うのは私も悟も何も纏っていないということと、下腹部と腰に感じる重たさ。
昨日の夜は悟と甘い甘い夜を過ごした。
はじめての経験。
とても甘くて苦しくて
気持ちがよくて恥ずかしくて
好きがいっぱい溢れ出して...。
昨夜のことを思い出して、恥ずかしくもあり、幸せな気持ちに包まれて、甘えるように自ら悟の胸に顔を擦り付けた。
「おや、もう起きたの?お姫様。おはよう。身体はどう?辛くない?」
『...ちょっとだけ...。』
「そうだよね。こんなにちっちゃな桃花の中にあんなにおっきな僕を挿れたら辛いに決まってるよね。」
悟の包み隠さない言葉に恥ずかしくなってしまう。
「僕に桃花のはじめてをくれてありがとう。愛してるよ。」
私の頬をスルリと撫でながら優しく笑う悟は本当に王子様みたい。
「もう少し横になってて。朝の支度は全部僕がしてあげるから。」
『ぁりがとぅ...。』
お言葉に甘えて深く被った布団からちょこんとだけ顔を出してお礼を伝えるけれど、悟が全部してくれるのはいつものことのような気もする...。
いつの間にか2度目の眠りに就ているとふわりと届いた甘い香りに目が覚めた。
「お待たせ。パンケーキ♡」
『はわぁ♡』
何枚か綺麗に重ねられたパンケーキの頂上にはバターが乗っていて美味しそう。
彩豊かなサラダと温かなスープ、フルーツのたくさん入ったヨーグルトが一緒にトレーの上に並んでいて、まるでどこかのカフェにでも来たみたいな気分。
『わ...!?』
嬉しくてベッドから降りてテーブルまで向かおうとするけれど、脚腰に力が入らずペタンとその場にへたり込んでしまった。
「大丈夫?お姫様。」
くすくすと笑って私を優しく抱き上げると、食卓まで運んでいってくれる悟。
「今日は無理しないでね。それと...今日から恵の部屋に戻るけど...。僕のところに来たくなったらいつでも来て?」
『ぅ、うん...。』
「昨日僕としたコトは恵とはしたらいけないよ?」
『.....。』