第6章 マリーゴールド *
部屋のドアをゆっくりと開ける。
『.......恵......めぐみぃ.......』
(.......................?!?!?!)
五条先生の部屋に居るはずの桃花の姿が俺の部屋にある。
すぐに先生に騙されたのだと気が付いた。
ベッドの上で丸まって
俺の服を....抱き締めて.....
俺の名前を.....呼んでる.....。
あまりの可愛らしさにまた気がおかしくなりそうだ。
「.............何......?」
昂る気持ちを無理矢理押さえて、平静を装い呼ばれた名前に対して返事をする。
するとベッドへ横たわっていた身体を勢いよく起こしてこちらへ顔を向ける桃花。
『.............っ....めぐみっ......!』
「.................っ!!」
ベッドから飛び降り、こちらへ駆け寄って来たと思えば一気にゼロになる距離感。
身体に伝わる桃花の体温と近くなる甘い香り。
昨晩あんなことがあったにも関わらず桃花から俺に触れてくれたことに驚く。
『...........もう..帰って来てくれない、かも..て思っ...た....!』
俺だって同じことを思ってたよ。
五条先生の部屋に行って、帰って来ないんじゃないかって...。
「........帰って来るだろ......。俺の部屋なんだから......」
『どうして一人にするの?恵が居なくてすっごくすっごく...淋しかったんだよ...?』
更に腰に回った腕の力が強まる。
俺も淋しかった...。
『......私のこと...嫌いになった...?.....ごめん..な、さい...いい子にするから...お願い.....嫌いにならないで........』
今にも泣き出しそうな、震えた声で離す桃花。