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【鬼滅の刃】鬼に愛される女

第1章 1~少女は旅立つ~


「ゆい……ゆい……」


誰だろう、誰かが私を呼んでいる。


「ゆい……起きて、ゆい……」


ゆっくりと目を開けると、目の前には優しい目で私を見ている御館様がいた。


「おはよう、ゆい」


御館様は優しく、落ち着いた声で私に声をかける。


「おはようございます。御館様。」


「よく眠れたかな?」


「はい、ありがとうございます。」


「そうか、よかった。まだ疲れてるかもしれないけど、仕事になるんだ。行ってくれるかい?」


御館様は優しく、ゆっくりと私に問いかけた。


「もちろんです。」


「では、鬼殺隊の炭治郎の元へ。」


「承知しました。」


私は御館様の屋敷の中にある私の部屋に入ると、タンスから鬼殺隊の隊服を出して袖を通す。


私は如月ゆい。特異体質の人間である。私の体液は不思議な力を持っており、人間が触れたり摂取したりすると少しだけで治癒力が上がる。


亡くなった手足などを生やすことは出来ないが、切り傷や刺傷程度なら私の血や唾液で治すことが出来る。


なので、補給班や治療班とは違う形で最前戦にいる鬼殺隊員達のサポートをしている。


私が使うのは夢の呼吸である。私の家系に代々伝わる呼吸だ。私の母は育てだったのだ。


母から受け継いだ呼吸を元に私は剣士として鍛練を続けた。さすがに柱ほどの力はないが、そこそこの鬼は倒すことができる。


いや、倒さねばならない。なぜなら私は鬼にとってはとても都合の良い存在なのだから。


私は生まれつき鬼を引き寄せる体質だった。稀血所の話じゃない。私の存在が鬼を引きつけるのだ。


私は鬼を強くしてしまう。私の血肉はもちろん、私を抱いた鬼は飛躍的に力が強くなる。人を数百人食べるのと同じくらいの力を手に入れることが出来るのだ。


人を食べるより、1回抱いた方が早いのだ。これ以上ないくらい都合がいいだろう。


私の家系は代々そういう子が生まれる家らしい。私の母もそうだった。


だからこそ、私は鬼を倒さなければならない。利用されないために、そして無惨を倒せばこの力もなくなるかもしれない。


その思いを胸に私は今日も刀を持つ。


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