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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第3章 蝶屋敷





んんーー…

よく寝たなー…!


自室で、のんびりと目覚める。

空にはもう、
太陽が天高く昇っていた。


…もう昼か…。

ずいぶんと寝坊しちゃった…。


緩慢な動きで起き上がると、
手拭いを片手に井戸へと向かう。


顔を洗うと、
やっと、意識がハッキリとしてくる。


美玖は、
手拭いに顔の水気を吸わせながら、

ふと、先日任務で一緒になった、
村田という隊士の言葉を思い出す。


私は十二鬼月との戦闘で瀕死の重症を負い
半年近く療養していた。

やっと先週から、
鬼殺の任務に復帰できた所だ。

復帰後、初の任務で、
師範と村田さんと共に峠へと向かったのだ。


その時、村田さんからとある話を聞いた。


村田さんは、
私が十二鬼月と対峙した日、
師範と共に鬼狩りに参加していた。


しかし、
師範がものすごい速さで鬼を倒すので、
己が刀を振る事はなかった、と。


それは先日の任務の時に、
私自身、目の当たりにする事となった。


私の師範は、
代々炎柱を継承していた由緒正しい家系。

煉獄家の長男 煉獄杏寿郎 その人だ。


師範から剣技の才を認められ、
煉獄家に住み込みで修行の日々を送り…

その甲斐もあって、

無事に最終選別を突破し、
鬼殺隊へ入隊する事ができた。


そこまでは、良かったんだけど…


半年前の任務で死にかけたとあって、
師範から申し出ての事かは定かではないが、

ここ最近の任務は、
全て師範と共に向かっていた。


村田さんの言っていたとおり、

美玖と共に任務へ向かおうと、

杏寿郎は凄まじい速さで
鬼を斬ってしまう。


鬼が複数体出るか、

十二鬼月であるというなら、
そうはいかないかもしれないが、


このまま師範と共に任務へ行ってたら、

私、鬼殺する事ができないのでは…?


稽古や鍛錬は大事なもの。
決して無駄などとは思わない。


でも、
異形の 鬼 という存在を相手にする

鬼殺 という任務において、


実戦経験を積むというのは

非常に大事な事であると、思う。


ー…ただ、

師範には、
かなりの心配をかけた自覚がある。

まだ復帰一週間だ…。

いずれ、
一人での任務命令もあるかもしれない。

一人で行きたいなどと、
…師範にお伝えするのは、気が引ける。



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