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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第1章 嚆矢濫觴




「こんにちは!
あのねあのね、明日、お休みになったの!
だからね、前から話してた甘味処、一緒に行き……」


蜜璃ちゃんはにこにこと私の手を取ったが、
側にいる男を見上げると、


「え?宇髄さん⁉︎」


大声を出す。


「甘露寺…」


宇髄と呼ばれた男も、蜜璃ちゃんを見て驚いている。


「…お知り合い?」


蜜璃ちゃんに訊くと、


「うん!私と同じ、鬼殺隊の柱なの!
睦ちゃんも宇髄さんの事、知ってたの?
びっくりー」


浮かれたように飛び跳ねる。
その様子を見た宇髄サンは、
頭をポリポリかいて、
バツが悪そうな顔をしている。

ほぉ……そうか。

宇髄サンは蜜璃ちゃんが気になっているのかな?
恋人ではないけど、想い人に贈り物、といった所か。

そりゃ蜜璃ちゃんの登場で動揺もするよね。
蜜璃ちゃんが誤解しないようにもしなくちゃね。


「今会ったばかりなの。
たまたまお店に寄ってくれただけなのよ?」

「え?わざわざ宇髄さんが?
何か買うんですか?」


蜜璃ちゃんは無邪気に言う。
あぁあ、それは…!


「蜜璃ちゃん‼︎明日、私もお店、
お休みにするからね!何時に行こうか⁉︎」


私は蜜璃ちゃんの両手を握ってこちらを向かせる。
この人が蜜璃ちゃんへのプレゼントを選びに来たなんて言えるわけがない。

すると蜜璃ちゃんは嬉しそうに、


「いいのー⁉︎嬉しいわっ!
じゃあじゃあ、おやつの時間にしましょ!」

「3時?」

「うん!大丈夫かしら?」

「大丈夫だよ!」

「約束ね!楽しみにしてるわね!」


蜜璃ちゃんは可愛い。
いつもにこにこ、素直な女の子。


「私も楽しみにしてる」


手を振って出て行く蜜璃ちゃんの背中に、


「甘露寺待て!」


と、声をかけ追いかける宇髄サン。


「邪魔したな!」


ちらりとこちらを振り返り、一言放つと、
走って蜜璃ちゃんを追いかけて行った。

途端に静かになった店内。
私はしばし放心状態。

ぼーっと立っていたが、ふと、
明日はお休みします
って張り紙しとこうと思い、
自分を奮い立たせるように、頬をぺちりと叩いたのだった。



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