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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第1章 嚆矢濫觴




翌日、お店はいつもよりも賑わっていた。
新作を取り揃えた店内は、あっという間に品薄状態。
私の予想をはるかに超えていた。

あぁ昨日、店に戻ったらすぐに取り掛かるはずだった作業。
予定外の来訪者のおかげでかなわなかった。

あの時、制作が進んでいれば…。

少し悔まれたが、でも昨夜のあの時間は、
私にとって必要なものだった。
今思い出しても、
心を溶かしてくれる大切な時間だった。



あの後、私を家まで送ってくれた宇髄さんは、
名残惜しそうに私を抱きしめて、
おやすみを言うと去って行った。
忙しくて時間もないだろうに、
いつも私のために時間を割いてくれる。

私はそれが、嬉しかった。
…最初は本当にヒマなのかと思っていたけれど。

一度甘え出すと、際限がなくなってしまいそうで、
私は自分を戒める。
彼に対する自分の気持ちがはっきりしない今、
まだ、甘えたりしたらいけないんだ。
私は彼と、胸を張って向き合いたい。



日も傾きかけた頃、品物はほぼ完売。
これは、もう商売にはならないと、
店を閉めようとしたちょうどその時、

「睦ちゃん!」

と元気な声がした。

「蜜璃ちゃん、久しぶり!」

私はその声の主に駆け寄った。

「久しぶりね!やっと会えたわっ。
睦ちゃん、まだ忙しいかしら?
時間があったらごはんでも行かない?」

何てタイミング!

「うわぁ、嬉しい!
ちょうどね、お店閉めるとこだったんだ!」

「そうなの⁉︎きゃー嬉しいわっ!」

こうして私は、蜜璃ちゃんと2人、
夕食を食べに行く事になった。



「おいしーい!睦ちゃん、おいしいわね!」

「うん、おいしいね!蜜璃ちゃんはいつも来るお店なの?」

蜜璃ちゃんは3杯目の天丼を頬張って、

「そうよ、
おいしいしね、私の食べる量をわかってくれてるからつい来ちゃうの」

「そうなんだ。いいね、行きつけのお店。
連れて来てくれてありがとう」

「あら!睦ちゃんとなら、どこでも行きたいのよ」

蜜璃ちゃんは何でもよく食べる。
元気のもとなのかな。
私ももっと食べたら、蜜璃ちゃんのようになれるのかしら…。

「それで睦ちゃん、この頃、どう?」



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