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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第11章 愛心





季節は夏の終わり。
朝夕に吹く風に秋を感じ始めていた。

私はお店の帰り道、
その涼しい風に当たりながら、
夕食はどうしようか、
帰ったら少し空いた時間で何をしようか
少しうきうきしながら考えていた。

「あら、睦ちゃん?来てくれたの」

……あれ?

「おばちゃん…」

「久しぶりねぇ。元気そうでよかったわ。
おじちゃん、中にいるから上がって?」

「うん…」

なんでここに来ちゃったんだろう…。
うちに帰るつもりだったのに。
…あれぇ⁇

来てしまったものは仕方ない。
仕方ないながらも、
懐かしい空間に浮ついている私は
るんるんで奥へと上がった。

「おじちゃーん、こんばんはー」

部屋で寛いでいたおじちゃんは
現れると思っていなかった私が顔を出したので
ひどく驚いていた。

「おー、睦…びっくりした、
よく来たなぁ」

驚いて、その後、喜んでくれた。
にこやかなその笑顔に、帰ってきた、という
安心感に包まれる。
吸っていた煙草をすぐに消して
テーブルを空けてくれた。

「急にどうした。何かあった、わけじゃないか?」

「何もないよー。
ただ…ちょっと2人の顔が見たくなって」

…なぜか来てしまっていただけなのだけど。
来ようと思って来たわけではないのだけど!
でも、そういう事にしておいた。
…変に心配させても悪いし。

「そうかそうか。嬉しいよ、
そうやって気にかけてくれるのは」

…罪悪感が拭えない…

「うん…ごめんね急に」

「いいんだいいんだ。もう夕飯、食べたのか?」

おじちゃんは嬉しそうに身を乗り出した。

「まだだよ」

そう答えると、そうだろうな、というように
うんうんと頷いて軽やかに立ち上がる。

「じゃあ、ちょっと待ってろよ」

仕事で疲れているとは思えない
身の軽さに少し驚く。
私なんかよりずっと体力がありそうだ。
しばらくして、
おじちゃんはたくさんのおかずを手に戻ってきた。

「今日はいつもよりもたくさん仕入れてな。
オマケもしてもらったもんだから
少し余っちまって。
睦ちゃんが来てくれて助かったよ。
たくさん食べて行きな」

サバの煮付けに鮭の塩焼き、
きんぴらごぼうに里芋の煮っころがし…

「私の好きなものばっかりだ!」

目を輝かせる私に、
おじちゃんは満足そうに頷いた。




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