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炎柱

第4章 月明かり 杏寿郎side





鬼は、人間を襲えば、
そのまま食べてしまう。
今の鬼は鬼になって日が浅かった。

十二鬼月のような鬼達の中には、
こちらには理解できぬ行動を取るものもいる。

しかし、鬼になったばかりの者は、
理性が働かず、ただただ人を襲うのだ。


い、いえっ、そんな…
こちらこそ、ありがとうございますっ

あ、あなた、、柱…さんが居なければ、
私も食べられてしまうところでした…!
なんとお礼を申し上げればいいか…


娘から返事がくる。
少しだが、声が震えているようだった。

が、柱…さん?
不覚にも少し吹き出してしまいそうだった。



いや、君に怪我がなくて良かった。
ところで、俺は、確かに柱だが、
名は煉獄杏寿郎という!

君の名は、なんというのだ?



娘の近くに立ち、名乗った。

無意識の内に、彼女の名を訊ねていた。


(…何故俺は名など聞いているのだ。)


助けた相手に名を聞くのは初めての事だった。
自身の、不可解な言動に動揺を覚えた。


…美玖と申します。
あの、本当に、ありがとうございます。
煉獄様。

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