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炎柱

第3章 月明かり




ー…タッタッタ…

急いで帰路に着く。


どうしよう…。
すっかり遅くなっちゃった…。

辺りは日も暮れかけ、

月が顔を出し始めていた。


美玖は先ほどよりも
気持ち速度をあげて進む。

着物を着ているので、
どうしても小走り程度となってしまう。


若い娘が夜道を歩くのは
もちろん危険な事だが、

ここ数日、夜、
娘が攫われてしまう事件が起きている。

娘達は、誰一人見つかっていない。


早く帰りたい一心で歩を進めていたら、
前から来た人物に気付かず、
ぶつかってしまった。

ードンっ…

あっ、、

バランスを崩して倒れそうになる。


その人は、そんな私を抱きとめてくれた。


うう、情けない…。


も、申し訳ありません…!
少し、急いでおりまして…。


顔を上げながら言葉を紡いだ。


そこには、
月明かりに照らされた、
珍しい毛色の男性が立っていた。

凛々しい眉、
意思の強そうな瞳、


ー…!
かっこいい人…。

ドキドキと鼓動が速まるのを感じた。


いや、気にする事はない。
お嬢さん、、
少し、目を瞑っていてくれ。


……?
どうしてだろう。

きょとんとしていると、


その人はすごい速さで視界から消えた。


振り返ると、
炎のような斬撃とともに、
何かを斬っていた。


…ひっ…!
そのまま見ていると
斬られた何かは灰のようになり、
消えていってしまった。


驚かせてすまない!
今のは鬼だ!
この辺りで娘が消えていると聞いた。
恐らくは先程の鬼の仕業だ。

安心して帰るといい。


その言葉を聞いて、
数日前からの事件を思い返す…。


あの、、
攫われた子達は見つかったのですか?


恐る恐る聞き返す。


少し、ほんの少し躊躇った後、


いや、娘達はもう食われてしまった。
あと数日、俺が早く来ていれば…。
柱として不甲斐なし!申し訳ない!


そう言うとこちらに頭を下げた。

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