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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第5章 色変わりの刀と初任務


帰りは眠気との闘いだった。
出発前に体を休めていたが、さすがに一晩中起きる事に慣れていない体には思っていたより堪える。

しかも帯刀しているのでお店に入ることも出来ず、腹を満たす事も出来なかったので、道の脇に転がっていた手頃な木の棒を杖がわりに足腰をプルプル震わせ、お腹を鳴らせながら歩いていた。

もちろんすれ違う人は心配げな視線を向けてくるだけで、やはり帯刀しているからか遠巻きに見守るばかりだった。

そんな災難を乗り越え、ようやく目指していた家が見えて安心し力が抜けそうになる。
そんな言うことを聞いてくれない体を引きずり遠く感じる玄関へと1歩ずつ歩を進めた。

「あと玄関まで10歩……頑張ってください、私の足腰……」

己の足腰を鼓舞するも、あと5歩の所で行き倒れてしまった。

「何がなんでも……這ってでも玄関に入ります」

有言実行と言うのか、本当に更紗は最後の力を振り絞って弱っているヤモリのようにズリズリと玄関へにじりよって行く。

ようやく玄関の前に辿り着き、残った握力と腕の力を全て出し切って玄関の引き戸を開け、玄関の中を確認することなく声を出す。

「た、ただ今、戻りました」

そう言い終わったと同時に体が浮遊感に包まれた。
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