第4章 鍛錬と最終選別
男達の後ろの暖簾がフワッと舞ったかと思うと、男の振り上げた拳はその腕より明らかに逞しい腕により止められていた。
「千寿郎、よく更紗を守った!それでこそ俺の弟だ!兄はお前を誇りに思うぞ!更紗も、よく千寿郎を庇ってくれた!もう心配ない」
だが杏寿郎の後ろにはもう1人の男の仲間がおり杏寿郎を殴り倒そうと振りかぶるが、さらにその後ろから体格と顔の造りに恵まれた男、天元が笑いながら姿を現す。
「マジで絡まれてた!こんな事もあるもんなんだ……なぁ?!」
後ろの男の手首を掴み、いとも簡単に背中へひねり上げ
ゴキュッ
と聞いたことの無いような不吉な音を鳴らした。
男は床に倒れもんどり打っている。
「お前らさぁ、こいつの姫さんにからんでんじゃねぇよ、派手にめんどくせぇ……」
杏寿郎は天元の軽口に返事をする程、精神的に余裕はなくなっているようだ。
鬼に対するそれと同じ雰囲気は本気で怒っているのが全員に伝わっている。
「いってぇな!離せよ!」
「罪なき少年少女に手を出そうとした輩が、簡単に痛みから開放されるなど思うな」