第3章 憎くて、愛おしい
先日、調査しに行った先にあったんだと、小さな貝殻を持って訪れたハンジさんは、運よくリヴァイさんの目覚めたタイミングをねらったかのようだった。
「眠り姫ならぬ・・・」
「リヴァイさんですか?男性ですよ」
「いいんじゃないの?目覚めを促すお姫様は、誰よりも女性らしく、誰よりも慈愛に満ち、そして誰よりも世話焼きだ」
「あれは・・・俺にとってのお姫様か」
楽しげに笑うリヴァイさんに、私は告げる言葉を見失う。
できることなら王子ってポジションにしてほしかったが、それを告げたところで何かが変わるわけでもない。
「自慢そうにあれと言うのをやめて下さい」
「だよねぇ。もう本当にリヴァイの独占欲駄々漏れー。暑いからやめてよ」
ケラケラと笑うハンジさんは、ぱたぱたと指先で顔をあおいでいる。
わざと見せるしぐさだがそれさえもどこか昔に戻ったかのような感覚で、私も思わず笑っていた。