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2人の監督生

第3章 メイド服


「大丈夫です。」

「ほんとですか…?ならいいんですけど。」

「ぅぐう…」

アズールの下に落ちたメガネを広いアズールを見上げる。いつも涼しい顔をしているあのアズールが、顔を真っ赤にして目と口をキュッと結んでいる。そんなに見るに堪えない格好なのだろうか…

「やっぱ着慣れないので、変ですかね…脱いでこようかな…」

「………そうですね、かなさんもそこまで嫌がるのであれば、メイド服での配膳は無理にやることもないでしょう。今確認したところ、このメイド服を破棄したところで今月の売り上げは赤字になりませんでした。あぁ、それはご自分で処分していただいて結構ですよ、好きにしてください。でもよろしければ僕の前だけたまにはその服を見せていただきたいですね。」

おおぅ…とてつもない早口。売り上げに問題ないのなら何故こんな服を着て配膳することを提案した?という話ではあるが…これもしや照れておるのではないか。ずっと真っ赤だし、全然こっち見ないし。そうやって思うとこっちは恥ずかしいよりも先にいたずら心が芽生えてくるわけで。

「……お決まりのセリフでも記念に言っときましょうか?」

「へ、」

「おかえりなさいませ、ご主人様。」

自分のできるとびっきりの笑顔をアズールに向ければ、また固まってしまった。…と思えば、ズズイと迫ってきて肩をつかまれる。メガネが光っていて目が見えないのが怖い。

「ただいま。挙式はいつにします?」

「え、挙式?なん、へ?」

「種族は違いますけど、結婚はできるでしょう。いつにs…」

「あ、アズールせんぱぁぁあい!?」

ズル、と地面に倒れてしまったアズール。いったい何が、と前を見るとジェイドがいた。どうやらこいつが頭にチョップをして気絶させたらしい。

「すみません、失礼しました。アズールは回収しますね。」

「あ、え、はい…?」

ペコ、と礼儀正しくお辞儀をすると、アズールの足を引っ張ってラウンジの奥へと消えていった。唖然として見ることしかできなかった。……挙式…アズールが壊れるとああなるんだなぁ…と考えながらモストロ・ラウンジを後にした。
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