第3章 覚醒
鬼となったわたしを皆快く受け入れてくれ、めでたく柱を継続出来ることとなった。なにも問題ないように思えたが、元の呼吸が使えなくなってしまったことがあの後判明した。どうしても鬼の呼吸になってしまうのは、変化した身体の構造の問題だろうか。
どうしたもんかと皆で考えあぐねたが、結局宇髄さんが命名した鬼柱を名乗ることとなった。無一郎くんがひたすらに反対していたけど、宇髄さんの圧がすごくて誰も適わなかった。謎の熱量で鬼柱を推されたので、わたしも受け入れることにした。
ここにはれて鬼柱の誕生である。
産屋敷邸でもう一日様子を見た。翌朝には手枷も外してもらえたが、万が一暴れるようなことがあれば迷わず斬り殺して欲しいと皆に伝えた。躊躇する者もいたが、やはり鬼殺隊の柱となれば理解も早く、皆承諾してくれた。ありがたい。
人でなくなっても、人殺しにはなりたくない。
お腹が空いても人を食べる気などさらさら起きず、試しに今まで同様の食事を摂取してみたところとりわけ問題はなさそうで、わたしのどの辺が鬼であるのか疑問が募るばかりだ。影響はないに越したことはないけれど。
鬼になって三日目、まだまだ謎が多いことから研究材料の意も兼ねて蝶屋敷で生活することとなった。
短い時間でしたが大変お世話になりましたとお館様に申し上げれば、またいつでもおいでと仰った。
本当にどこまでもお優しく、気高く、この方に身を尽くせて幸せだと思った。