• テキストサイズ

【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第9章 「愛している」


「確かに俺はその様に指導して来た。だが、お前には、もうその考えは必要ない。自分を許して、俺を責めろ」

「出来ませんよ。貴方の考えは正しいと、納得しています。立ち止まってしまったら、これまでの自分自身を否定することにもなります」

 宇那手は、冨岡の頭に手を伸ばして、ろくに手入れされていない髪を撫でた。

「それに、恨みや、悲しみだけが原動力ではありません。貴方の”愛している”が、私の戦う力になっています。今日の言葉だけでは無く、これまでの貴方の気持ちも。⋯⋯分かっていましたよ」

「⋯⋯」 

 冨岡は宇那手の髪に手を伸ばし、紐を解いた。それは伸び過ぎてしまった髪を纏めたいから、取り敢えず何か貸してくれと言った彼女に、適当に渡した物だった。

「町へ入るぞ」

「はい。任務でしょうか?」

「簪が欲しいと言ったな? 用意する」

「でも──」

「俺がしてやれることは、そのくらいしかない」

 冨岡は、そっと宇那手の手を引いて歩き出した。
/ 766ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp