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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第8章 明日の私に〜織田信長〜



意外にも、信長様は私を気に入ってくれたようだった。
私はどのへんが良かったのか、あんな醜態を見せてしまった手前、不思議でならない。

「あんなもので、終わりだと思うな」

すごい台詞を事の後に言われ、信長様は私を優しく抱きしめて寝てくれた。
私は気づかれないように、そっと涙を流した。
この腕の感触を忘れたくない。
全部、覚えておきたい。
この匂いも、吐息の温かさも、貴方の体温も…。

私、一緒に眠っても良いのですか?
終わったら帰されるかと思っていたのに。
共に朝を迎えられるかもしれない、そっちの方が嬉しいなんて私はおかしいのだろうか。
信長様の心に少しは近づけたのだろうか。

信長様の腕に触れながら思う。
私の想いの半分でも私のことを好きになって欲しい…。


あぁ、やっぱり私は選択を間違えてしまった。
欲張りになってきている。
信長様に、ただ尻尾を振っていた頃の私には戻れそうにない。
きっと、これから苦しい毎日になりそうだ。
私は、貴方を純粋に想っていた頃の私が好きだった。
大きなものを得た分、私は失ってしまいそうだ…自分を。
女々しい女になりそうだ。
貴方の嫌いな部類の女になりそうです、私。

本当に好きな人に捧げられた。
でも、この人は私を…愛してはいない。
身体を重ねてわかったことだった。
未来の私が今見ていたら、止めに来るに違いない。

これから何度、こうやって身体を重ねられるだろう。
重ねる度に好きになって貰える保証なんてない。
随分、大きな賭けに出てしまったものだ。

本当に私は、なんと滑稽で愚かな女だろう。
いつまで此処にいられるかわからないのに。


「それでも、一緒にいたかったんです…」


後悔しても、朝は来てしまう。
だから、今はこうしてひとときの幸せに酔っていよう。
この苦しみは、明日の私にお願いして…





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