• テキストサイズ

イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第8章 明日の私に〜織田信長〜




笑うと眉が片方だけ下がって、優しい目になる。
その日、信長様の笑った顔を見た。
いつも難しそうにしている顔が一瞬緩む。
その堪え切れず笑ってしまうような顔を見た時、目が離せなくなった。
恋に落ちる瞬間というのは、案外呆気ないものらしい。

私は、その笑顔が見たくてつい変なことを言ってしまう。
信長様の目に、私は相当可笑しな娘に映っているに違いない。
それでも良かった。
その一瞬の笑顔がまた見たい。
信長様から無理難題を言われても、私はいつも誰よりも元気に返事をしていた…と思う。
信長様に喜んで貰えるなら、私はなんでもしたかった。
なので、夜伽を命じられても何も気にしなかった。


「…本当に来たのか」

私が天守閣に訪れると、信長様が驚いていたので私は慌てた。

「あれ?夜伽って明日でしたか?」

そう言った後にしまったと思った。
違う、信長様は私がさすがに断ると思ったんだ。
間違えた…選択を間違えてしまった。
信長様は私を困らせようとしていたんだ。
何をウキウキ来てしまっているのだ、私は。

「か、帰りましょうか…私」

「何を言っている」

ですよね…。
ふと、信長様の顔を見るといつもより目が優しく見える。
夜の方がリラックスしているのかな。

「お酒でも注ぎましょうか」

「…そうだな」

私は信長様にお酒を注ぎながら、話しかけた。

「あの…一つ、お伝えしたいことが」

「なんだ」

「褥を汚してしまうと思うんです、私」

信長様は、お酒を零さんばかりに驚いていた。

「…ということは…お前はアレか」

「あ、はい。すみません、そのことを忘れていました」

信長様はまじまじと私を見て、ゆっくりと尋ねる。

「…いいのか?」

「はい、私は…いいです」

う、困っている。
明らかに悩んでいるように見えた。
きっと、この変わり者を興味本位で抱いてみようくらいの気持ちだったに違いない。
言わなきゃ良かったかな…。

/ 462ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp