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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第7章 君の手〜真田幸村〜



この男の子の手…凄い好きだな。
指もなんか骨っぽくて、男の子らしさがあるというか、爪の形も綺麗な四角で…
テキパキと動く手を見ながら、ふとそう思う。
顔を見ると、凛としていて、まだ少年っぽさが抜けていない青年だった。かなりカッコイイと思う。
しかも、自分の格好良さに気づいていない、そんな感じが尚よかった。
そう思ったのは、ずっと女の人に言い寄られているのに、全く靡かず、しかも明らかに女性に慣れていない、ほとほと困っている様子が見てとれたからだ。
私は心の中で同情した。
モテるのも大変そうだな…。
なので、その女性が諦めて帰った後、思わず声をかけてしまった。

「大変でしたね」
「え?あ、ハイ…。いや、こういうのホント苦手で」
頭をかきながら、困ったように言う。
髪飾りや櫛を扱う店なのに、女性が苦手なんて、なんだか面白くて笑ってしまった。
「ふふっ。整った顔に生まれた宿命だね」
「止めて下さいよ…マジで」
この人、可愛いな。
本当に困っている。

「これ、凄く可愛いね」
私が櫛を手に取って見ると、その男の子もチラッと櫛を見て
「あー、そーっすね…」
とよくわかってなさそうに答えるので、
「ねぇ、本当にそう思ってる?」
「いや、思ってますって」
とムキになるので、ますます笑ってしまう。
「ごめん、ちょっとからかっただけ」
「…なんだ、勘弁して下さいよ」
そう話していると、

「あれ?葉月さん?」
「佐助くん…」
佐助くんが驚いた顔で立っていた。
「え?お前ら知り合い?」
「あぁ、葉月さんは俺の同郷仲間だ」
「幸村は俺の友達で…」
「どうも、幸村です」
そう私に挨拶すると、その商人は佐助くんを軽く睨む。

「お前なぁ!店番、俺だけにすんなよな。こういうの苦手だって言っただろ」
「すまん、ちょっと別件で…」
二人は仲良さそうに話している。
私は羨ましかった。
良いな、男同士って。
屈託ない笑顔を見せ合う二人を見て、心底そう思った。

ふと、幸村という商人は私を見ると、
「佐助の友達なら敬語はいらないよな。俺はユキって呼ばれてるから」
と私の方を見ると、ちょっと照れ臭そうに言う。
「うん、よろしくね。えっと…幸くん?」
「幸で良い」
そう言って、困ったように笑う姿がすごく、心に残った。



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