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イケメン戦国<私だけの小さな恋の話>

第5章 素直になれなくて〜伊達政宗〜


政宗が、おでこをくっつけたまま離してくれない。

「あの…政宗、もう離してよ」
そう言って、身体を押そうとしてもびくともしない。

「俺、すっげー腹が立ってる」
そう言って、次は両手で私の頭を掴んだ。
「本当はお前…俺に惚れてるんじゃねーか?」
言葉とは裏腹に、私に触れる手はとても優しかった。
素直に頷けたらどんなに良いだろう。
「違う…。好き、なんかじゃ」
言葉が続かない。
まだ、自分の気持ちに自信がなかった。

「ふーん、なるほどねぇ」
「予想以上に頑固みたいだな」
政宗の目の奥が光ってる。
獲物を見つけた肉食動物みたい。
どうやって私を料理しようか考えている…そんな目だった。

「ちょっと目、閉じろ」
食べられてしまうのかもしれない。
抵抗しようか…でも、政宗の目がそれを許してくれそうにない。
私は恐々と目を閉じた。

…すると、おでこに優しく唇を当てられた。
「お前が好きだ…葉月」
私は、ゆっくり目を開けると、信じられない思いで政宗を見た。
「いい加減、受け入れてくれよ」
困ったように政宗が笑う。

「なんだよ、押し倒されるとでも思ったのか?」
「うん…思った」
「はっ!無理矢理する趣味はねーよ」
「それに、お前は病人だろうが」

私は、政宗をまだよくわかってないのかも。 
政宗を知りたい。
これから…もっと。
この人はこんなにも優しいのだから。
曇りの無い空のように、この人の心は澄んでいるに違いない。

「ありがとう、政宗」
「またそれかよ」
政宗は横を向くと、盛大にため息を吐く。

違うよ、今までとは。
私は前向きに自分の気持ちと向き合うつもりだよ。

政宗を見つめる私の目線に気づき、ニヤリと口角を上げて政宗は言った。
「上等だ…覚悟しとけよ」


ーーいつか素直な気持ちを貴方に伝えられるまで、待っていて。
きっと遠くない未来だと思うから。


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