第66章 続・さようならと言えなくて〜明智光秀〜
「…今頃、あの2人は逢えたでしょうか」
「どうでしょう…。でも、光秀様は葉月様を見つけるのがいつも誰より早いですから。きっと…」
「そうですか…」
空を見上げながら、佐助と久兵衛が二人並んでいた。
二人は光秀がタイムワープしたのを見届けたのだ。
久兵衛は佐助を見つけ、光秀と葉月のことを伝えると、すぐさま力になると光秀の所に来てくれた。
葉月に逢えるたった一つの危険な方法も、光秀は何も厭わず「行く」と言ったのだ。
「…でも、あの光秀様が何もかも捨てて、葉月様の所に行かれるとは思いませんでした」
「いや、俺も葉月さん達の内情を何も把握していなくて…申し訳ありませんでした。知っていたら、この時代に引き止めていたのに」
「いえ、良いのです。それもきっと…気づきになり、大切な時間だったと思います。それほど大きな存在だったのでしょう、葉月様が」
ー…良かった。
久兵衛の心は晴れ晴れとしていた。
気づけば、雨も止んでいる。
短い人生だ。
好きな相手と少しでも一緒にいて欲しい。
そう、戦国時代から500年後にいる二人を想い、久兵衛は微笑んだ。