• テキストサイズ

雨のち恋

第4章 雨のち思い出


ため息が出るくらいに美しいのは、
星空でも、街並みでもなくて、
それらを映し出す貴方の瞳だと思った。

宛もなく走らせた車は
所謂、夜景スポットと呼ばれる所に着いていた。
都会の夜景に比べて
田舎の夜景は明かりもまばらだ。
それでも1番美しいと思えた。
海も、星空も、街並みも、
今の私には特別な世界に思えてしまう。

「海の上にあるあのたくさんの船は漁船ですよね?」

明るく光を放つ漁船たちを指さす。

『あれは、イカ釣り漁船ですね。今はイカが旬ですからね。もう少し早い時間だと岸辺にたくさんたむろってるんです。』

「なるほど。イカ釣り漁船が夜景向きだと言うのも中々面白いですね。
あちら側に見えるのは?」

赤や青、紫や黄色。鮮やかな光が集まった箇所を指さす。

『ちょうど幻太郎さんが泊まってるらへんの温泉街ですね。番傘に灯りを照らしたり、あとは提灯とか!
あの辺には足湯もあるんですよ。
散歩コースにもなってますね。』

「詳しいんですね。」

『あそこらへんには、とてもお世話になりましたから。』

「お世話、ですか?」

また恋愛思い出話になってしまいそうだ。と口を噤んだ。

「先程のBARでのお話。聞かせていただけますか?」

『つまらない、と思うかもしれません。』

「思わないですよ。」


今見えてるだけでも自分にとっては広い世界のこの場所は、
この人は、受け止めてくれるだろうか。
/ 48ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp