第1章 初めまして王子様
「あっ!き、きたぁ!」
「今日もカッコいい…。」
「シフト被っててよかったぁ!」
「…」(来た…。)
大抵、お客さんと従業員のどちらかが騒ぎ出すとすぐにわかる。
「おはようございます。」
「お、おはようございます!/////」
「おはようございます!/////」
黒河怜。バイト先の王子様である。容姿がかなり良く、長髪の黒髪は後ろで縛ってあり、肌は色白。身長も高く、パッチリ開いている目はもちろん二重で、何よりもの凄い色気がある。
「おはよう。」
「あっ、お、おはようございます。」
「今日も一緒だね、シフト。」
「あ…そ、そう…ですね…。」
そう。なぜか黒河さんとはシフトがよく被る。お互い合わせているわけでもないし、ましてや物凄く仲が良いわけでもないから仕事以外で喋らない。
「ねええ、先輩~!なんでそんなに黒河さんと被るんですかぁ!」
「わ、わからない…。」
「教えてくださいよ~!」
周りの女性従業員から羨ましがられるほど。
高校生からずっと続けているバイト。もう私より後から入ってきた人の方が多く、教えてあげる側だ。
私より先にいた人は、黒河さんと店長、あとパートのおばちゃん3人。ちなみに黒河さんは私の教育係でもあった。