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  …妄想だし?  【ハイキュー!!】

第8章 メガネ【月島蛍】






森然高校での合宿1日目。






音駒と梟谷の主将の自主練に付き合わされた帰り、
裸足で踊るこの人を見つけた。





思わず声をかけてしまったのが始まりで、
今僕はこの人の靴と靴下を一緒に探している。
気がついたら走って踊り出していて、
迷子になった挙句に靴も靴下もどこにあるかわからなくなったのだという。

もちろん一度断った。 
こんなぶっ飛んだ人の意味のわからない頼みを聞く必要はないはず。

…でもこうして探してしまっているのは
しつこく頼まれたからではない。

むしろその逆で、断って背を向けて歩き出した僕にこの人は、


『…………ん。お疲れさま!』


と言った。無理に絞り出した感じはなく、至極朗らかな声で。




それに面を食らってつい振り返ってしまった。

頼みごとをあっさり断られたのにも関わらず、
綺麗な笑顔で、そこに立っていた。
揺れる花のようだった。




そんなわけで探し始めたのは良いんだけど、
質疑応答みたいなことをしようと言い出した。

理由は、僕が穂波さんを怖いと思うのは
僕にとって穂波さんが得体の知れない存在だからじゃないかとのことで。

そんな風にどんどんとペースに巻き込まれながら、
靴下を片方と両方の靴を見つけ出すことができた。
残りは靴下の片割れ。

靴は両方見つかったし、靴下は明日の朝探すことにするらしい。
食堂へと向かうため校舎の方へ行く途中、
目の前にある急勾配の坂を穂波さんは横になって転がり落ちて行った。





けらけらと腹を抱えて笑い、僕にもやったら?と言う。
…するわけがない。




するわけはないけども…最初はあんなに大きかった不信感も
それから自主練で音駒主将に言われたこと、
思い出す兄貴のことなどでもやもやとしてい頭の中も
この人と時間を過ごすうちに落ち着いてしまった。

ぶっ飛んでいるけど落ち着いていて、心地がいい。
自分の物差しで測ってこないのも良い。
それからこの、屈託のない笑顔に相当、調子を狂わされてる。







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