• テキストサイズ

Room Number 「OOO」【気象系BL】

第8章 008


「な、何事だ…」

動揺する鮫島の声が、光を失くした室内に響く。

ただそれもほんの一瞬のことで、すぐに天井のシーリングライトを含めた全ての照明が、瞬きをする間もなく灯された。

そして再び姿を現した榎本の手には、もう一枚のカードキーが握られている。

元々部屋の住人、鮫島が所持していた本物のカードキーだ。

榎本は、本物と偽物、二枚のカードキーをテーブルの上に並べると、

「この二枚のカードキーは、一見すればどちらも同じに見えますが、実は一枚は本物で、もう一枚は偽造された物です」

少々早口気味に言ってから、二枚を同時に手に取った。

「鮫島社長、この部屋のカードキーは、スペア併せて何枚ありますか?」

問われた鮫島は、

「俺が持っていた一枚だけだと聞いている」

一瞬の迷いもなく答えた。

「そうです。一枚しかない筈なんです」

「で、でもちょっと待ってくれ。この部屋の照明は、そのカードキーが無ければ点かない筈だろう? なのにどうして…」

一瞬天井のシーリングライトを見上げ、首を傾げた鮫島に、

「簡単なことです」

榎本は一切表情を変えることなく、黒縁眼鏡の縁を持ち上げ答えた。
/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp