第5章 火の神様の場所で
かかしサイド
______
俺とマリは手を繋いだまま歩き続け、ようやく火の神様がまつられている場所までやってきた。
「やっと…着いたねかかし」
「うん」
嫌な予感はしないけど空気はどこか冷たく変わり、そこだけ空間がちがうようにも感じる。
とても、神聖な場所____
「毎年ここで火をたいて、お祭りしてお祝いするんだよね…懐かしい」
彼女のいう話から、彼女の世界にあるまったく同じ火の神様の場所らしい。
俺は、ほんの数回しか来たことはないけど…
彼女の世界と俺の世界の火の神様の祠が、何かしら繋がっているのか…?と思えた。
ここに来たところでどうしていいかもわからないけど、とりあえず辺りを歩いてみるか。
「周り、歩いてみよっか。そこ、ちょっと木の影もあって暗いから俺が先にいくよ」
そういって、繋いでいた手を一瞬はなし、俺は先にゆっくり階段を下りながらポケットから小さい懐中電灯をだしてつける。
「ほら、マリ」
そういって、後ろを振り返り繋いでいた手をもう一度さしだした。
「え?…」
そこにはなぜか___マリはいなかった____
敵の気配はなかった
怪しいと思うこともなかった
でも___彼女はいない
消えた…?
というほうが正しいようにも思えるその光景は、俺を一瞬で不安にさせた。
周りには、まったく気配を感じない。
呼んでも誰も答えない。
さっきまで繋いでいた手を見つめてみる
夢なんかじゃない
俺は確かに彼女の手を握りしめていた
今、この瞬間まで
俺が
手を離したから____?
俺は
また
1人_____?