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私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第21章 サイン



すると不安と緊張に支配されていた私に、どこからともなく唐突な強い眠気が襲う。

(あれ、昨日いっぱい寝たはずなのに…なんでまた)

なんとか抗おうと目を必死に開くも、まぶたがどんどんと重くなっていき。そのまま思考がぼんやりとし始めれば、気がつく前に私は意識を失っていた。






「おい希里、起きろ」

『……んん、あ、あれ…』

真っ暗闇から急に声が響き始めれば、私は目をゆっくりと開く。横には轟がいて、すでに外は日が落ちた様子だった。

「保須市だ」

『あれ、いつのまに…』

どんどんと意識がはっきりとしてくれば、自分が轟の肩に寄りかかってしまっていたことに気づきすぐさま体制を立て直す。しかし轟はいたって普段通りの表情で、私の寝ぼけた顔を覗き込んでいた。

「お前、よく寝るんだな」

『ああ…ごめん』

「?別に謝らなくても」

『いや、これでも一応職場体験中だし。今度から気をつけないと』

「そうか」

そう言いながら車から降りれば、どこかの立派なホテルに付いていたようで。

今日はとりあえず宿泊して、本格的なパトロールや調査は明日からという事らしい。軽くこれからの予定などの打ち合わせを済ませれば、各自与えられた部屋へと戻る。

(いや、ひっろ…)

もらったカードキーでドアをひらけば、自分一人には大きすぎるほどの立派な部屋で。

こんな大層なホテルに泊まったこともないので、正直どうすればいいのか全くわからない。うろうろと物珍しいものを見るかのようにしばらく部屋を探索すれば、やがて満足してベッドへと腰をかけた。

(明日から本格的な職場体験が始まるのか…少し、いやかなり緊張するかも)

自分のヒーロースーツが入ったボックスを開けてスーツを眺めながら、今後のことを考える。そして確か飯田も保須市で職場体験していることを思い出せば、まさかと嫌な想像をしてしまう。

(飯田くんにかぎって。まさか、な)

なんとかその嫌な予感を振り払おうため制服を脱ぎ、シャワーを浴びてしまう。そのまま私は夕食もそこそこに、一人には大きすぎるベッドにうずくまればやがてすぐ深い眠りについた。




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