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私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第20章 ブラッドレッド



本当に二人は付き合っていないのだろうか。

付き合っていなくても、もし轟が既に彼女に好意を寄せていたら?

彼女が人目を引きがちなのは、今に始まった事じゃない。既に彼女は誰かのもので、俺なんかが出る幕なかったら。彼女の幸せを願う反面、何もしないまま諦めようとしている自分が情けなくなる。

(くそ、俺は男だろ!男は度胸だ!)

そう覚悟を決めれば、すぐさまその日の放課後彼女を引き止めた。






そして約束の当日にいたる。

『あ、切島くん。ごめん待たせたかな』

「あ、い、いや!今来たところだぜ」

本当は30分も前から待ち合わせ場所で待機していたのは言うまでもない。約束の時間通りにきた彼女は、休日に待ち合わせをしているので当然のことながら制服ではなかった。

『ならよかった』

ホッとした表情をした彼女は、俺を見上げる。

初めて制服や体操着以外の服を来ている彼女を見て、俺は少し言葉につまる。

オーバーサイズのTシャツとショートパンツ、そして黒いカーディガンとだいぶカジュアルな格好だ。それでも初めて見る彼女の私服に感動していれば、希里はそんな俺を心配そうに見る。

『ん?ど、どうした…?』

「ああなんでもねえ!い、いくか!」

『うん。映画みたいんだっけ?』

「おう、どれ見るか決めてねえけどよ…」

『そうなの?てっきり見たい作品があるのかと』

「な、なんとなく映画の気分なんだ」

『ほーん』

いつも通りの希里を横に、俺は既に心臓がバクバクで。


映画を選んだのもデートっぽいからという単純な理由で、それ以外に全くプランできていない。直前までいろんな案を練っていたが、考えれば考えるほど迷ってしまい結局なにも決まらずじまいだ。

会話もそこそこに近くの映画館へとつけば、二人で上映作品一覧を眺める。

『切島くんはどういうのが好き?』

「おれはなんでも好きだぜ!希里が見たいのありそうか?」

『えっとー、うーん…』

ここはやはり女の子が見たいものに合わせるのが鉄則だろうと、好きに彼女に選ばせる。しかし彼女はあまり選び慣れていないのか少し困ったように唸れば、映画のポスターを一枚一枚見ていく。

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