第42章 ➖2人の誘惑➖
「サラ〜…なぁにイソギンチャクたち
ビビらせてんのさぁ〜?」
そのまま座っている私に
後ろから抱き付いてきた…
『フロイド…その体勢は腰痛めるよ?』
「ん?なぁ〜に?心配してくれてんの〜?
ならさぁ…帰ってきてよ。淋しいじゃんか」
ワントーン下がった声で…
誰にも聞かれぬ様に耳元で囁かれる…
『フロイド…。もう少しだけ…ね?
ちゃんと帰るから待ってて?』
首元に巻き付いている
彼の腕をポンポンと優しく触れる
「ヤダ!…今すぐがいいー…」
そう言うと更に強く抱き締められる…
「フロイド…僕も同じ気持ちですが…
話が脱線していますよ?」
『ジェイド…タイミング計ってたでしょ?』
「えぇ…それはそうですよ。フロイドは
サラを恋しがっていますからね…」
誰にも聞かれぬ様に
ジェイドも耳元で囁く…
『もう…話し進まないでしょ?』
「おや…そうでしたね。
サラ…何故イソギンチャクを
怯えさせていたのですか?」
『あぁ、それね?
ソコのイソギンチャク三人衆が
あの子に非は無いのに愚痴ってたからねぇ…
だから少し…ね?』
「なっ!?
サラ言うんじゃないんだゾ!」
「いや…マジ…なんにもないです…はい…」
「そうです…なにも…」
慌てた様子で取り繕う三人衆と
それを聞きフロイドが私から離れ
顔を上げ、気怠そうに姿勢を伸ばす
「あはっ、契約違反したイソギンチャクたちが
なんか言ってる〜。
お前らは文句言える身分じゃねぇんだよ。
黙ってろ」
ドスの効いた声と鋭い眼差しで
彼らを絞めあげるフロイド
「ヒ、ヒェ……また絞められる〜」
グリムがそっとデュースの背に隠れていた
『あ!2人は何の為にココに来たのよ…?』
「えぇ、僕たちは…そう、貴方です…
オンボロ寮の監督生のユウさん」
ジェイドが周りを見渡し
お目当ての人物を見つけ
その人物へと話しかける