• テキストサイズ

*・*刀剣男士と花咲く恋*・*【刀剣乱舞】

第6章 和泉守兼定 優しい兄ではいられない・:*+.


道場で汗を流すと少し気持ちが晴れ、迎えにきた国広と大浴場へ向かう。

その時、廊下を歩いている主と一期一振の姿が目に入る。
「っ!」
主が満面の笑みで楽しそうに話している姿を見ると、胸がチクリと痛んだ。


主…他のやつにあんな顔すんのか。
なんだよ。俺じゃなくてもいいのかよ。
ふいに自分勝手な負の感情が押し寄せてきて呑まれそうになる。

「あっ!主さーん!」
国広が二人のもとに駆けていく。
「国広くん!今日も任務お疲れ様でした。兼さん明日のことなんだけど…」
「和泉守殿、主から江戸城の視察の件を伺いました。もしよろしければ私も同行し…」
「いや。俺一人で十分だ。」
一期一振の言葉を遮り、強く断言する。
普段とは違う俺の態度に主が不安そうに見つめてくる。
その視線が辛くて足早に大浴場に向かった。


なんだあれ。俺らしくねぇだろ。
一期一振に嫉妬したのか?
かっこわりぃな。

その日は急に芽生えたこの苛立つ気持ちが消化できず、なかなか寝付けずに朝を迎えた。


今日は主と江戸城に行く日か…。
昨日主を不安そうな顔にしてしまった事が気にかかって、少し緊張しながら審神者部屋に向かう。

「主、入るぞ。」
「兼さん。おはよう!ちょっと朝寝坊しちゃって…今準備してるの。」
少し眠そうな表情でいつもどおりに笑う主にほっとする。

「髪の毛を結うのか?俺がやってやる」
俺は柔らかい主の髪の毛を梳かしながら、優しく編み込みをしていく。
「わーい!兼さんって本当に器用だよね。」
嬉しそうに笑う主を見て、なぜか独占したい気持ちが生まれる。


この顔…俺以外には見せんなよ。
心の中でそう呟いた。
/ 203ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp