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ONE PIECE短編集

第3章 絡みついたのは愛か死か(トラファルガー・ロー)




先ほどから続いている他船との戦闘。
といっても私は関係ない。巻き込まれただけ。

つい数ヶ月前にわたしはうっかりこの海賊団に捕まってしまった。
それはもう見事なへまをしたわけだ。
まぁそんなこんなで乱闘騒ぎを静まり返った部屋で聞いていた。


「あー・・・どうにか逃げられないかな」


だれも居なくなった部屋にて呟いてみる。
だが手枷足枷しまいには首輪までついたこの状態。しかも海楼石だ。
この枷の数・・・船長の趣味の悪さがありありとわかる。

がちゃがちゃと枷を揺らしてみるが一向にとれる気配もない。
てかピカピカに光っているところをみるといつも手入れをしているのだろうか、これは。
いよいよ危ない場所に捕まってしまったと焦りだした。

ふと気付けば外の騒音がやんでいる。
戦闘が終わったのだろうか。いささか早い気もする。
もしかしたら相手の海賊団か海軍がとてつもなく強い奴で、あっさり負けたのかもしれない。
どっちにしても自分の状況は良くない。

はやく脱出しなきゃ。
能力は使えないからとりあえず自力で抜け出すしかない。
絶対無理だとわかっているが、とりあえずまたがちゃがちゃゆすってみた。



カツ カツ カツ



そんな最中聞こえた足音。
確実にこの部屋に向かってきている。
この部屋の主か。はたまたこの船を撃ち落とした敵か。
どっちみち身体が強張って動かなくなる。

キィと古いドアが音を立ててひらく。
部屋の奥にいる自分からは誰が入ってきたかは分からない。
でも雰囲気でわかるそのやばさ。絶対にこの部屋の主ではない。この船を乗っ取った奴だ。
危険だと脳に警報が鳴り響き、身体はかつてないほど緊張している。


「お前が"Black"か?」
「!」


急に発せられた名前にビクリと身体が揺れる。
それを肯定と取った相手はゆっくりとこちらへ歩み寄る。

光が差し込んだ先に見えたのは男。
すらりとした華奢にも見える体つきに、もふもふとした帽子をかぶったやつ。
帽子のふちと部屋の暗さで顔は良く見えない。
後ろにはこれまた大きなクマがいる。ちょっとびっくりした。


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