第40章 好きな人だったら、俺にもいんよ
あちらこちらから、ありがとうございました!お疲れ様です!などの声が飛び交っていた。
皆んな慣れた手つきで、辺りを片していく。ただ、炭や肉類はある程度 その場に置いたままにしてくれている。
そして、あっと言う間に撮影器具や照明などがなくなって、随分と景観がスッキリとした。
「いやぁ、TRIGGERもMEZZO"もお疲れさん!面白い画が撮れて満足だよ!」
「ボク達も、凄く楽しかったです。また来週もよろしくお願いします」
監督と天が挨拶を終えると、スタッフ達は全員撤収していった。
「うふふ、この後はカメラ無しでバーベキュー?いいわねぇ」
『そうなんですよ!だからさ、一緒に楽しみませんか?』
「ごめんねぇ春人くん、私この後まだ仕事があるのよ。私の分も楽しんで」
『そうなんだ…』
「やだっ、そんな顔しないでよ!もうっほんと可愛いんだから!また今度、ご飯行きましょ?
じゃあまたねー!」
去って行く構成作家に、ぶんぶんと大きく手を振って見送る。やがて完全に姿が見えなくなると、くるりと身を翻す。
『食べましょうか』
「…何だかんだ慣れてきた。お前の “ それ ” 」
「お肉お肉っ。俺まだまだ食えるかんな」
「俺がどんどん焼いてあげるから、皆んな いっぱい食べてね」
こういう時、焼き役に回る龍之介は 本当に男前だと思う。
私は左手に皿と箸を持ち、空いた右手だけを使って缶ビールのタブを引く。すると、冷たいビールから プシっと破裂音がした。
私はそれを、紡に差し出した。
『どうぞ』
「あっいえ、私は未成年ですので」
『あぁ、そうだったんですね。これは失礼しました』
受け取って貰えなかったビールに、私は自分で口を付ける。すると、隣に立っていた天が言った。
「ちょっと。普通、まだ乾杯してないのに飲む?」
『あ。すみません、つい』
「まぁ、ボクはべつにどっちでもいいけど。でも、そういうのにうるさい男が約1名いるんだよね」
「おいこら春人!お前いまフライングしてたろ!」
『「…見つかった」』
楽は、ローストビーフを切り分ける手を止めて叫んだ。