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それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】

第8章 弱者は仕込む


「スノー先輩、顔色が悪いですけど…
大丈夫ですか?」

床に散らばったのはスノーの腕の中のものだけでは無い。
カバンを抱えていたユウが、綺麗にその中身をぶちまけたのだから、その場は悲惨なものだ。
テキパキと散らばった本達をまとめるユウは、ぼーっとしているスノーの顔を見上げた。
元々色の白いスノーの顔は青白く、額にうっすら汗まで浮かんでいる。
誰がどう見ても具合が悪そうだ。

「んー?
大丈夫よ。
別に風邪とかじゃないの。
ほら、女の子の日よ。」

ニッコリ口元だけ作り笑いを浮かべるスノーに、ユウは困ったようにファイルと本を差し出した。

「僕は男なのでわかりませんが…
大変だとはよく聞くので、無理はしないでくださいね。」

「おやまぁ、ありがとう。」

ユウからファイルと本を受け取りながら、スノーはチラリと壁の時計に目をやった。
針は遅刻ギリギリの時間を指し示している。
真面目なユウは遅刻などしたがらないだろう。

「ほら、遅刻してしまうわ?
さっさと行きなさい。」

「うわっ…!
大変だ、行ってきます!」

グリムー!と叫ぶ声を聞きながら、スノーは再び腕に抱えた荷物に目をやった。
キッチンに向かう前に、談話室の机に置かなければ。
これでは何もできないではないか。

この日何度目かわからないため息をつきながら、スノーは方向をかえる。
どうやら今日は本当にダメな日らしい。
なにも上手くいかない日もある、そう己に言い聞かせながら足を進める。
本当は蜂蜜を入れたミルクティでもいれようと思ったのだ。
冷蔵庫からミルクを取り出すためにキッチンにむかっていたのだか、もはやそれすら諦めた。
ローブから杖を取り出すと、いつものようにゆっくり一振。
いつもと変わらないストレートの紅茶になってしまったが、それでもじんわりとした温かさにほっとする。
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