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【ONE PIECE】人はそれを中毒という

第1章 今の二人


「結局またこれか」
「……」

目覚めたのは窓から差し込む夕焼けの光が思った以上に眩しかったから。
気を失ってたようで、クロエの胸元に顔を突っ込んであどけない寝顔を晒している男を引き剥がし、文字通り叩き起こした。

最初こそ無理矢理起こされて機嫌の悪い声を出していたローだが、ふと目の前の女を見ればそれは一瞬で成りを潜めた。
なんとも恐ろしいニッコリ顔のクロエがいたからだ。

「途中でやめてって言ったよね?」
「……」
「限界だって」
「……」

この時間に起きれたから良かったものの、いつも通り夜が更けるまで目が覚めなかったらこの状況をベポ達に見られていたのだ。
こういう関係なのは向こうも周知の事実だが、知っているのと見られるのは別だ。単に恥ずかしい。

「手加減なんて無理だって言ったろ」

ガシガシと頭をかきながらローはため息をついた。
まぁクロエとて了承した時点でこうなることも覚悟したのだが。
それでも仲間に情事を見られるのはやはり恥ずかしい。
誰かこの男にもそういう感情を教えてやって欲しい。

クロエから視線をはずしていたローが徐にベッドから降りてリビングの方へ向かった。
なんとなくその後ろ姿を見ていると、なにか手にもって帰ってきた。

「やるよ」
「?」

紙袋を受け取ると、ごつんと固いものがぶつかる音がした。
なかを覗き込めば瓶が二つはいっていた。

「…っ!!」

一気に破綻する顔に、やっぱり準備しておいて良かったとローは言う。
無類の酒好きで、世界中の酒を飲む!と人生の目標にしているだけあって新しい酒に出会えば飲みもするが、自室に酒蔵を設けるくらい収集もしていた。

ローから聞いた話では、ログポースの指さない辺鄙な島にたまたま寄った時、村の特産品という酒を酒場で飲んで気に入ったというその酒は、物流が盛んではない島なため世にも出回らなかったようだ。
クロエが好むだろうその味に、お土産として飲む用と保存用の二つを購入してきてくれたのだ。

「機嫌なおったか」
「……まぁ、少しは」

ご機嫌取りとして功をなしたようで、シワのあった眉間がのびホクホク顔になっていた。
こんなことで許されると思われても嫌だが、どうやら目の前で早く飲んで!と自分を誘惑する琥珀色の液体に、すっかり機嫌は直ってしまったようだ。



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