第2章 見えてくる物
あの後私は、太宰さんの所にお世話になることになりました。
土地勘も無い、白いワンピース以外洋服も靴も持ってない、見ず知らずの私に、生活に必要な物は、携帯も全て太宰さんが次の日に用意してくれました。
何故だが下着もサイズがぴったりのものを買ってきてくれ、、
「私の趣味をたっぷり詰め込んだからね♡」
なんて、ニコニコしてる太宰さんに
赤面したのはまた別のお話で…
あの人は本当何を考えているのかよく分からない人だ。
でも…こんな私を救ってくれた人。
携帯を開き、連絡帳を見てみると、一番上に太宰治と記してある。
あれだけ人との繋がりを無くしたがっていた私なのに、何故か太宰さんとの繋がりを感じた途端、心臓に温かい血液が沢山通う。
ドクンッドクンッ
『あったかい…』胸に手を当ててみた。
「うんうん!温かいね」
なんて言いながら私の、右側の胸に手を押し当ててくる太宰さんの手をパシンッと振り払う。
『なっ!何をしてるんですか?』
「何って?それは体温確認だよー!今日もいい天気だ!心中日和だねっ!今日は、ありさちゃんを連れていきたい場所があるんだよ。
さぁー共に行こうではないか」
スタスタと歩き出す太宰さんに置いてかれないようにと、私も素早く携帯を持ち、靴を履き太宰さんの少し後ろを歩き出した。
「ありさちゃんは、パソコンは使えるかい?それに珈琲やお茶なんか煎れられるかい?」
『はぁ…はい。パソコンはそれとなく、珈琲もお茶もインスタントなら煎れられるとは思いますが…美味しいかどうかは…』
「うんうん。なら大丈夫だ!私に任せて。
さぁー着いたよ。ここがこれから君が働く
探偵社だよ」
『えっ?私が働く?』
「そうそう!私も呼吸するのだけで忙しいのだけれど、探偵社のお母さんが理想、理想と五月蝿くてね。こき使われているのさっ。
ほらっ」
理想?あっ?もしかして…この前怒って走りながら追っかけてきた。あの眼鏡の?そんな事を考えていると、
すり硝子に武装探偵社と書かれた茶色いドアを戸惑う事なく開けてくれた。
「いやぁー諸君!おはよう」