• テキストサイズ

あなたの瞳に私が映るまで

第10章 貝・改


フラフラと外を歩く
何故だろう…痛い…痛い…痛い…
何を勘違いしているんだ
私には幸せな結末など似合わないこと
誰よりも知っているじゃない
得意じゃないか、殻に閉じこもること
貝のようにじっと耐えて
誰の目にもうつらないように
悟られないように

行き着く先は暗闇でも光を浴びたあとの
暗闇はとてつもなく寒くて暗い

『あれ…結構遠くまで歩いちゃったな…戻らないと』
考えながら歩いていると結構遠くまで歩いてしまった。
暗闇に包まれているような感覚。

寒くて手を擦りながらはぁーと息を吹きかけ前を向く

『あっ!芥川さん…こんにちは』
凄い久しぶりに見かけた彼は相変わらず白い肌でとても機嫌が悪そうに見える
「僕にかまうなとお伝えしたが…」
『ねぇ…一緒にお弁当食べない?太宰さんの分のお弁当なの!食べれなくなっちゃったからさ!どう?』
カラ元気でも元気な声を出せば元に戻るんじゃないか…そんな気持ちで芥川さんに声をかける
「太宰さんのなら…いただく…」

『じゃあそこのベンチで食べちゃおう!』

私はこっち!と手を引っ張ってベンチに腰をかけ、いただきますと声を上げ笑顔を向ける

「いつも太宰さんはこれを食べているのか?」
心なしか照れ顔のような芥川に微笑みながら

『うーん、いつもと言うより私に余裕があるときはなるべくお弁当作ってるよ』

無言でお弁当箱をあけ、箸を持ち卵焼きをとり小さい口で食べていく。
「太宰さんは味の素が好きだから、卵焼きにいれたのか…?」
『そうだね…味の素好きだよね。芥川さんはどうして太宰さんにこだわるの?』

その質問をした時ふと我に返る。
私だって十分に太宰さんに
こだわっている事に気がつく…
人のことを言えないじゃないかと

「僕は、太宰さんに認めてもらいたい。
何としてでも。だから僕は強くなる。強くなって人虎を倒す」

『そっか…敦くん倒されちゃうのは嫌だけど、太宰さんに認めてもらう為に努力をする芥川さんは見習わなきゃ。私も一緒に頑張ってもいい?私も認められたい!いつまでも甘えてたら駄目よね』
芥川さんの目を見つめ微笑んだ
「…ご馳走さま。これハンカチお返しする。もう僕にかまうな」

『わざわざ覚えててくれたの?やっぱり優しい。また一緒に話そうね』

「人の話を聞いているのか?」
『太宰さんに似てきちゃったのかも、またね、芥川さん』
/ 79ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp