第7章 それぞれ
アンナサイド
あれから3か月すぎた。
最初の1か月はただひたすら泣くしかできなかった。
目が覚めれば、またあっちの世界へと移動しているんじゃないかと期待もよせたが、何も起こらなかった。
2か月目は、あの日自分がこけた場所で何度も何度も地面をさわったり、蹴ったり叩いたりしたがなにも起こらず。
また泣くしかできなかった。
こうして3か月目、涙は枯れつつあるが、どうしていいかわからずぼんやりしている。
どうやってそこにいったのかわからないから、なんで戻ったのかもわからない。
かかしのことが心配でたまらなかった。
それでも毎日日は上り、朝がきて、日が沈み夜がくる。
でも看護師として人の生死に関わっていると、こうして生きているだけで私は幸せなんだと思った。
あの時だって、変な薬飲まされて、死にかかってたようなもんだったしな…よく生きてたな私も…
死にかかってた‥
何か引っかかった。
私は確かに死にかかっていた。
あの周りの様子からして重症だったのは間違いない。
でもこっちに戻ってきて、死んでるどころか、時間すら進んでいなかった。
こっちでも私が死に近い状態になれば、またあっちにいけるのか…?
いや、冷静に考えて、わざと死に近い状態になるなんてできるわけがない。
そんなイチかバチかの賭けに出るほど、確信もない。
あの時の夜を無理やりにも思い出してみる_____