第7章 沈黙は、語り続ける。
「小娘一人探し出すことも出来ないってのはどういうことだ!?」
監視カメラの映像確認部屋で宜野座は叫ぶ。そんな彼に「ここ、出入りに対するセキュリティばっかり厳重で、いざ中でかくれんぼとなると、ざるもいいとこなんスよ」と手振りを交えて言う縢。
先が見えない状況に、狡噛は六合塚に尋ねる。
「……過去数日分の監視カメラの録画から、王陵璃華子の姿だけをピックアップ出来るか?」
「本部のラボに支援させれば、その程度の画像検索はすぐにでも」
六合塚が答えると「やってくれ」と頼む狡噛。六合塚は作業していた従業員にぽんと肩を置いて交代する。
「しかし……王陵牢一だと? そんな絵描きがいたなんて、どうして解った?」
質問する宜野座。常守は、「”オリジナリティ”ですよね。狡噛さん」と問いかける。
「何だって?」
宜野座は常守に聞く。常守は、「いや、だからその……”犯人のメッセージ性に芸がないから”……その」と上手く表現できずに言葉を詰まらせる。
「プロファイリングによって、ですね……」
ひょいひょい、と手を揺らして答えた常守。宜野座は顔を狡噛の方へ向ける。
「狡噛、今回の2件は藤間の犯行ではないと、お前は最初から見抜いていたのか?」
「……今回の犯人は、ただ目に付けばいいというだけで遺体の陳列場所を決めていた。2回続けて公園を選ぶなんて、藤間幸三郎だったらあり得ない」
狡噛がそう論じた。
「だからと言って、まだ全てが王陵璃華子の仕業だとは——」
宜野座の発言に言葉を遮ってこう言う。
「どうであれ、あんな犯罪係数をマークした娘を放っておくわけにはいかない」
「そうだろ?」、と宜野座言う狡噛。ここで丁度六合塚の作業が終わったのか、彼女が皆の方を向いて喋る。
「画像検索完了。ブラウズするわね」
と、映し出される映像。
「……あぁ、社交的な子だったんだな」
常に取り巻きがついてる、と征陸が気づいて言う。
「だからこそ、独りで行動している場面は訳ありと考えていい……」
と、狡噛が言う。すると彼は、一つの映像に目を移す。
「……どこのカメラだ?」
尋ねる狡噛。
「……寮の裏手にある、ゴミ処理施設ね」
と、六合塚が確認しながら言う。縢が「こんなところに何の用が……」と呟いた瞬間、狡噛は走り出した。