• テキストサイズ

恋愛SS集

第3章 もう少しだけ


「…来ちゃった…」


「またかよ…」


俺はめんどくさそうにそう答える。
彼氏とケンカした時は必ず家に来るコイツに。


「だって…」


俺にめんどくさそうに言われ泣きそうな顔になる。
俺は「はぁ…」とため息をつく。


「いいから…入れば?」


俺は顔を動かし中へ入るのを促す。
彼女は小さな声で「お邪魔します」と言い中に入る。


「とりあえず、コーヒーでいいか?」


俺が聞くと彼女はコクンと頷いた。
二人分のコーヒーを入れソファーに座る彼女に渡す。


「ありがと…」


そう言うと一口コーヒーを飲む。
俺も隣に座りコーヒーを飲む。


「…で?今日はどうした?」


俺が優しくそう言うと、彼女の瞳から涙がポロポロ溢れる。
俺はそれをそっと親指で拭う。


「…また浮気…してた…」


彼女はそう言うと指で拭えない程の涙を溢れさせる…
俺はまた…いつもの様に彼女を抱きしめる。


「なぁ…あんなヤツのどこがいいの?」


俺は彼女の頭を優しく撫でながら言う。
「俺にしとけよ…」その言葉を何度も押し込めながら。


「わからない…わからないけど好きなの…」


彼女はそう言うと俺にしがみつく。
俺は強く抱き締めた。


「バカだな…お前は…」


そう言う俺はもっとバカだ…。
こんな形でも構わないから触れていたい。
利用されてるとわかっているのに…。


「……なぁ……」


俺は言いかけたまま黙り込む…。
彼女が俺に抱き付いたまま小さく「なに?」と呟いた。


「…ッ…いや、なんでもない…」


もう少しで言う所だった。
俺の気持ちわかってるのかなんて聞いてどうすんだよ…。


「今日…泊まってくか?」


彼女はコクリと頷く。
今はいい…まだもう少しだけこのままで…。


【end】
/ 5ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp