第6章 やがて糸は火となり繭となる 2
ジェイドが2人の元に戻ってきたのは、空がほとんど夜の色と言っても差し支えないくらいになってからだった。
彼の腕の中には大量のキノコがあり、ジェイドはユウが今まで見たことがないほどの満面の笑みだった。
それもいつもの何かを含んでそうなものではなく、純粋な笑みだ。
一方のフロイドはそんな片割れの姿を確認すると、すぐさまげんなりした表情を浮かべた。
ジェイドが嬉しそうに採れたキノコについてユウとフロイドに語る。
フロイドはまったく話を聞いていなかったが、ユウはこんなジェイドを初めて見た為、真剣に耳を傾けていた。
キノコについて一通り語り終えたジェイドは、そこで初めてユウとフロイドを繋ぐ赤い糸の存在に気付いた。
「おや、それが噂の赤い糸ですか?」
ジェイドの言葉にユウは驚く。
ジェイドに糸が見えることもそうだし、噂というのもどういう事だと思った。
「い、糸……見えるんですか?」
「はい。はっきりと」
「噂の、というのは?」
「えぇ、フロイドから聞いてまして」
「何で糸が見えるかわかります?」
先程の笑みとは違いまたいつもの胡散臭い笑みに戻ったジェイドに、ユウは糸についてダメ元で聞いてみた。
すると意外にもジェイドは「わかりますよ」と笑った。