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【ツイステ】引き合うさびしさの引力

第14章 夢みていたのおとぎ話の世界 2



ユウが悶々と考えている間に勝手に話を進められ、結局宴には参加することになった。
カリムを先頭に、グリムとユウはスカラビア寮へと繋がる鏡を潜る。
瞬間、カラッとした暑さに身体を包まれた。

カリムは寮に戻ると、「ジャミル!お客が2人増えた!」と叫ぶ。すると何処らかともなくジャミルが鬼のような形相で現れた。

「カリム!お前は何度言えば分かるんだ!
そういうことは前もって言え!俺は今日料理は作らないからな!」

ジャミルの怒りはもっともだった。
ユウはチラリと怒られているカリムを見る。
彼はホリデーの一件をちゃんと覚えているのだろうかと少し疑問に思った。

ガミガミとカリムを叱るジャミルは怒りのあまりユウとグリムが見えていないようだった。
ユウは恐る恐る「あの……」と声をかける。
ジャミルの声がピタリと止まり、そして彼の首が錆びたブリキのおもちゃのようにギギギッとユウの方に向く。

「あの……すみません……私たち急に来ちゃって…………それで、あの……私たち帰りますので……」

ユウのその言葉で、固まっていたジャミルは漸く復活すると、慌てて口を開いた。

「いや、大丈夫だ。
料理は俺が完璧に作るし、2人人数が増えたところで大して変わりない。
君たち2人はゆっくりして行ってくれ」

少し早口ではあったものの、ジャミルの表情に焦りなどはなく、いつも通りの澄ました顔だった。

ユウとグリムは顔を見合わせる。
そして「それじゃあお言葉に甘えて……」とユウは少しぎこちなく微笑んだ。





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