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もうひとつの古傷【HP】

第3章 White encounter



 姫さん、という言葉が気になる。とてもそんな柄ではない。どういう意味なのか聞こうとしたが、それよりさきに双子が続ける。
 「姫さんはスリザリンかと思ったよ」
 「もちろんグリフィンドールに来てくれて嬉しいけどね」
 『そうなの?なんで?』
 会話には入ってこないが、ハリーもロンもハーマイオニーも聞いているようで、口に料理を含みながら視線はこちらにあった。
 「だって蛇を連れてたんだろ?」
 「蛇はスリザリンのシンボルさ」
 息ぴったりで胸元を指さす双子。何かと思い視線を辿ると、ネクタイにあるホグワーツの校章が目に入る。小さいがしっかりと刺繍されている。緑色の中には蛇がいた。スリザリンのシンボル、蛇。
 思わず後ろを振り返り、スリザリンの方を見ると青色と目が合う。驚愕、不信、疑問──そんな表情を浮かべる彼は、あまり食事が進んでいないようで、口と手の動きはない。
 あの時の笑みは、スリザリンに来ると思ってのものなのだろうか。多少私も有名らしいので、スリザリンの名をあげるために欲しかったということなのか。ここでふと我に返り、この仮説があまりにも自惚れたものだと呆れてしまう。

 宴の後半はゴースト達の登場でさらに盛り上がり、それは賑やかな夜となった。食事を終えると、監督生の案内で各寮へと足を運ぶ。道中、無数に蠢く気まぐれな階段に目を奪われ、生きた絵画に言葉を失い、とても目まぐるしがった。

 談話室の後に案内されたのは女子寮。階段を登って右手にある女子寮には、既に荷物が運んであるらしい。早速ハーマイオニーたちと部屋の扉を開ける。グリフィンドールの制服や、ダイアゴン横丁で購入した学用品が綺麗に置かれていた。丸を描くように並んだベッド。赤と金のシンボルカラーで統一されたベッドの上にある白色を見て、自然と顔が綻ぶ。
 『あ!ここにいたのね』
 駆け寄って手を近付けると、汽車のときのように受け入れてくれる白蛇。それに気付いた女子たちがいっせいに騒ぎ始める。

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