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もうひとつの古傷【HP】

第2章 Two scars



 「これをロンドンで?」
 「店を知ってりゃあな」
 そう言ってハグリッドが入ったのは、漏れ鍋という看板を掲げるパブの中だ。薄暗い雰囲気とは対象に、中は楽しそうな笑い声で溢れていた。ちらちらとロウソクの小さな光が揺らめく。お店の中はほとんどが老人で、楽しそうに談笑しながらグラスを交わしている。
 「ハグリッド。いつもの酒かい?」
 店員らしき老人がハグリッドに声をかける。その口調や内容からして、ハグリッドはここの常連のようだ。
 「いや、ホグワーツの公用でな。ハリーとに学用品をな」
 その言葉を聞くと、老人の顔に浮かんでた笑顔が驚きのものへと変わった。
 「まさか!!ハリー・ポッターと・か!?」
 興奮したように大声で話す老人の言葉に、パブ全体の雰囲気がガラリと変わった。楽しそうな雰囲気が一気に静かなものになった。ちらりと店内を見ると、全員の視線がこちらに集まり、ぎょっとする。思わず隣を見ると、ハリーも同じように不思議そうにこちらを見ていた。
 「お帰りなさい、よかった!」
 「お会い出来るとは。なんたる光栄!」
 「ドリス・クロックフォードよ。本当に夢のようですわ」
 「一度に2人に会えるだなんて!!」
 まるでどこかのスターにでもあったように、ハリーや私に握手を求める老人たち。向けられているのは悪意では無いので、悪い気はしないが、それでもなんだか照れくさい。差し伸べられた手を握り返していると、頭にターバンを巻いた、他のお客さんより若い男性に声をかけられる。
 「ハリー…ポ、ポッター……っ、。君たちに会えて…う、うれしい」
 吃音で話す男に気付いたハグリッドが、ホグワーツのクィレル先生だと紹介してくれた。まるでおもちゃを目の前に瞳を輝かせる子どものようなクィレル先生に、何故か背筋がブルりと震えた。ハリーが握手を求めるが、クィレル先生はそれに応えなかった。
 お店の裏口へと向かいハグリッドは、あたかも自分の事のように「お前さんらは有名だろ?」と話した。何故なのか聞くも、はぐらかされてしまった。
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