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好きのベクトル【ヒプマイ】

第1章 序章



そんなこんなで此奴、桐生なずなと関わるようになったのだが、2つ耐えられないことがある。
1つはエロガキのぎゃんぎゃん喚く声、そしてもう1つはこのガキの成長だ。
助けてもらった恩からか俺に懐くようになったなずな。
でも、好きだなんだと言って俺に馬鹿みたいに発育した胸やら何やらを押し当ててくる。
30も超えてはいるが俺だって立派な男。
良い身体のオンナに迫られれば反応してしまうわけで…
だからこそバカガキ、クソガキ、メスガキと遠ざけているが、あいつのポテンシャルの高さにこちらは溜息もんだ。
でもあいつに手を出すということは淫行条例に引っかかる。
弁護士としての立場上それは控えたい。
だからこそどうにかしたいが、正直今まで扱ってきた難関な案件よりも難しい案件に俺はまたため息を吐いた。


たまに十四や空却を乗せるために予備で乗せているヘルメット。
十四のバンドのステッカーやうちのラップチームのステッカーがベタベタと貼られた紫のヘルメットをなずなは嬉しそうにかぶる。
モノクロのフルフェイスヘルメットとグローブを着けるとバイクにまたがり少し重心を傾ける。
跨がれ、とヘルメットで籠る声。
なずなは大人しくシートに跨がるがひらりとスカートを翻している。

「おい、メスガキ。んな座り方じゃパンツ見えんぞ。」
「うそっ!」
「裾はケツに敷け、足はしっかり閉じろ。あとは…」

俺は勿体ぶった言い方をしながら肩に置かれたなずなの手を前に引っ張り俺の背中にくっつける。

「ちゃんとくっついておかねえと振り落とすぞ。」

ヘルメット越しに振り向いてやればなずなは嬉しそうに笑い俺の背中にぺたりと張り付く。
あの時から一気に女らしくなったなずなに抱くこの気持ちはきっと親心なんだと上書き修正をしながら俺はバイクのエンジンをかけた。
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