第6章 従順※

｢遅くなっちゃってごめんねー｣

私は会場に待たせてしまっていた蘭ちゃんと園子ちゃんの所へ駆け寄る。

｢いえいえ、それよりカホさん大丈夫ですか？少しお酒を飲みすぎたから酔いを覚ましてくるって、｣
｢え？｣
｢昴さんがそう言ってたので、あれ、違うんですか？｣
｢そ、そーなの！お酒ちょっと弱くて｣
｢楽しくてつい飲みすぎてしまったんですね！｣




沖矢さんフォローしてくれたのか



こっそり沖矢さんの方向に目線を向けると彼と目が合ってニコッと笑われた。
私は僅かに頭を下げる。




パーティーは警察が例の男を連行した後そのままお開きになったそうだ。
ほんと最低よね！、と園子ちゃんは言う。


心配かけなくてよかった、


沖矢さんがいなかったら私は今こうして彼女たちの前にいることはなかっただろう。

本当に沖矢さんには助けてもらってばかりだ。



｢じゃあ私達もそろそろ帰ろっか！｣
お迎え呼んでくるね！、と園子ちゃんがその場を去ろうとすると、あ、待って下さい、と沖矢さんが園子ちゃんを止めた。



｢よければカホさんは私が送りますよ｣
｢え？｣
｢蘭さんは園子さんの家にこのままお泊まりになられるんでしたよね？｣
｢あ、そうです｣
｢なら、私がカホさんを送った方がカホさんも早くお戻りになれるでしょう｣
｢でも沖矢さんお酒は、｣
｢私は元々車で来ていたのでお酒は飲んでいませんよ｣


園子ちゃんは確かにその方がいいですね！、とニヤニヤしながら沖矢さんに賛同する。

｢それとも、私では不安でしょうか？｣
｢い、いえ！とてもそんなことは…｣
｢なら問題はありませんね｣

た、確かにそうなのだが、


あんなことをしてしまった後で沖矢さんと2人きりというのはなんというか気まずいような気もする。


行きましょうか、と沖矢さんが言ったので私は二人にお礼を言って沖矢さんの後をついて行った。





｢どうぞ、乗って下さい｣

沖矢さんは助手席のドアを開け私が乗るように促す。
安室さんもなのだがこう紳士的な行動をさっとできる人はあまりいないと思う。

｢ありがとうございます｣

私が乗ったのを確認すると沖矢さんは運転席に座りエンジンをかけた。