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Can you hear me……

第2章 Take me in your heart


高校生にしては背が高い方であろうガジュとのダンスは違和感ない。何よりラテン気質な彼と踊るのは楽しい。
一緒になって笑いながら踊り、たまに指導と言うには浅いアドバイスをすると真剣になってフムフムと頷く。そしてすぐに「じゃあ早速」とアドバイス通りに踊ってみせる。そんなところもまた可愛らしくて、まるで弟のようだ。

ガッチリとした腕に抱きとめられるようにしてスピンを止められ、ぐうっと背中を反らされると、そっとガジュの顔が落ちてきて

「えっ、いや、ちょっとガ」

全て言い終わる前に軽妙な破裂音とガジュの痛がる奇声が響いた。
何が爆発したのかと思いきや、仙石さんの大きな手のひらが形のいいガジュの頭を引っぱたいたようだ。痛がりながらも、しっかりと私を支えたままなのは流石と言ったところだろう。
お腹に力を込めて起き上がり、私は腰に手を当てて仙石さんを見る。

「強く叩いたら可哀想でしょ」

「バカ言ってんじゃねぇぞ。コイツが何しようとしたかお前が一番わかってんだろ」

「私もビックリしたけど、だからって叩いていい理由にはならないでしょうが」

ガジュを庇うように仙石さんとの間に立つと、背後からガジュがひょっこりと顔を出して「そーだそーだ!」と都合よく合いの手を入れる。それでも憎めないのは彼の性格からくるものなのだろうか。

ぐっと右手を握り込み、仙石さんは眉間にシワを刻んで私たちを見下ろしている。とても不服そうだが私だって引く気はない。
しばらく顔を見合わせていたが、環ちゃんの手を叩く音でふっと気が逸れた。

「はいはーい! いい大人たちが喧嘩しないで。ほら、もういい時間だし、高校生たちはお帰んなさい」

「え!? もうそんな時間!?」

バタバタと動き出したのはタタラくん。
失礼します! と大きな挨拶をして奥の更衣室へと引っ込んでいく。その姿を見て私も時計を見上げた。もう帰らなければならないのかと思うと気が重い。しかしそうも言っていられない。

ガジュの熱い感謝の言葉を貰い、さて私も着替えようかなと思ったが、みんなで駆け込んで更衣室に行ったため混み合ってるかと思い直して、環ちゃんにスタッフルームに置いてもらおうと辺りを見回す。
現実逃避だなと分かってはいても体は素直に言うことを聞いてはくれない。

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