第8章 honey.8
「よーし、完璧!」
クシとドライヤーをテーブルに置いた彰が、さらっさらに乾いた俺の髪を見て満足気に言った。
彰によって乾かされた髪を左右に降った俺は、クロを胸に抱いたままでほっと息を吐いた。
「…あ、うどんもいい位に煮詰まったかな」
もふっ…。
ソファーの上から首だけを伸ばしキッチンを確認した彰が、俺の行動に目を見開いた。
「…えーっと……まっすん…?」
気まずそうな彰の声に耳を傾けたまま、俺はピクリとも反応してやらなかった。
「…そこはちょっと、彰くんヤバくなっちゃうな」
えへっとわざとらしく言った彰に仕方なく顔を上げる。
「こういう気分…」
「うん。まっすんの気分がよく分からない!」
彰の足の間で大人しくドライヤーをかけられていた俺は、ソファーに座っていた彰の方を振り返り、腰の辺りに抱きついたのだった。
簡単に言えば俺が彰の股間辺りに顔を埋めていたので、こいつがこんな反応をした訳なのだが…。