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月神の恋人 【鬼滅の刃 黒死牟 R18】

第5章 ※雨の蜜夜 とこしえの契り※


「・・・・っ」

キリカが慟哭した。それに呼応するかのように外の雨も勢いを増した。

(何があったと言うのだ・・・)

朝、出掛けた時はあんなに楽しそうな顔をしていたと言うのに。

キリカの体を抱き抱える。頭や背をあやすように撫でながら、黒死牟は激しく後悔していた。こんなに辛そうな顔をさせる為に送り出したのではない。あの時、何としてでも止めるべきであった。

何があったか知りたいのはやまやまだが、まずはキリカが落ち着くまで待つ事にした。

「キリカ・・・、お前の涙は・・・、全て受け止めよう・・・」

泣き伏すキリカに優しく語り掛けた。お前は一人ではない。そう言い聞かせるように。



どれぐらいの刻が過ぎただろうか。キリカの慟哭が嗚咽に変わっていった頃。

「・・・・さ、ま」

「・・・・?」

「黒死牟・・さ・・ま」

嗚咽の隙間を縫って、キリカがか細い声で黒死牟を呼んだ。

「どうした・・・?」

「・・・・」

黒死牟の腕の中で、キリカが顔を上げた。血の気を失った、蝋のような顔色のキリカが黒死牟を見上げる。

「私・・・、みんなに会って参りました。みんな、元気そうでした。けれど・・・」

キリカが、酷く辛そうに言葉を切った。続きを言おうとしたが、涙がぶり返しそうになる。

「庄屋様の相手をしろ、と言われました。何とか逃げて参りましたが・・・」

その時の事を思い出し、キリカは声を詰まらせた。それ以上は言葉にならなかった。

「相手をしろ・・・、だと・・・」

怒気を孕んだ、低い声音にキリカがびくりとした。顔を上げれば、六つ眼に恐ろしく剣呑な光を湛えた黒死牟と視線が合う。

「どこの村の連中だ・・・、言え、キリカ・・・」

威圧感と共に問い掛ける黒死牟は怒りで我を忘れかけていた。

「言え・・、キリカ・・・。お前に仇なす連中は生かしてはおけぬ・・・」

両肩を掴まれた。言わねば、許さぬ。凄まじい威圧感に、キリカは呆然と黒死牟を見上げた。

平生、冷静な黒死牟がここまで怒りを露にしている。
まるで嵐のような激しさだ。








































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