第11章 鈍感マイクラッシュ!【Kalim】
夕暮れに近づくスカラビアの空。
これは最近私の1番お気に入りの色。
アスル色とでも言おうか。まだ日没までは時間がある。穢れのない真白の太陽光とオレンジ色が焼く空。
アラビアンな雰囲気の白と赤の建物と夕焼けは余りにもよく映えた。
燃えるような太陽の色、ここの寮長のようだ。
「あ、あの…カリム先輩。」
その寮長にお姫様抱っこされて、宮殿のようなスカラビア寮へやってきたのには理由がある。
「ん?どうした?」
「そろそろ下ろして、くださりません?恥ずかしいです…」
「?そうか?」
「ほら、皆さん見てますし」
そっか!とカリムは監督生を地面へそっと下ろす。
スカラビア寮生たちに見られながら、カリムに案内されて寮の中へ。
中は涼しくて、床や壁がひんやりとしている。
少し緊張気味にキョロキョロと建物内を見回した。
目にも鮮やかな赤や白の反物たちに、チャンダンの匂い。
相変わらずオンボロ寮とは大違いね。当たり前だけど。
「日没まで時間があるし…寮内を案内してやるよ!」
監督生は心臓のバクバク音を抑えながら、できるだけ綺麗に笑顔を作って、はいと答えた。
(やってやるわ。)
彼女は気合い充分であった。