第5章 突撃シュリンプ!【Floyd】
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数日後。
「あ〜〜小エビちゃん♡待ってたぁ」
顔を見るなり、フロイド先輩は私を絞める。
「フロイド先輩、こんばんは。会いたかったです」
私もその背中に手を回しポンポン、と叩く。
「アザラシちゃんも、よく来たねぇ」
「ふな、ここにはいい思い出がねぇんだゾ〜…。」
私は今日はグリムと一緒に、モストロ・ラウンジにお招きされていた。
何やら大切な話があるらしい。
「いらっしゃいませ、監督生さんにグリムさん。さぁお掛けになってください」
「お待ちしておりました。」
「こんばんは、アズール先輩。ジェイド先輩。」
今日も監督生の髪にはマジェステが輝いている。
ラウンジのボックス席に促され、アズールとジェイドの向かい側にグリムと監督生、そして彼女のすぐ隣にフロイドが座った。
「さて。オクタヴィネル夜の男子会へようこそ。」
「はい、オレ特製のスペシャルドリンク。小エビちゃんはーオレのカノジョだからタダでいいよ。」
グリムと監督生はどういう訳か、接待を受けている。
グリムは大喜びでテーブルに並んだシーフードを食べ始めた。
「えっと、今日はどういうご用件で?私女なのに男子会に参加していいんですか?」
「フフッ。貴女とグリムくんがいなければお話が進まないので。ねぇアズール?」
「ええ。時は金なり、早速本題へ入りましょうか。さて、フロイドと監督生さんの挙式についてですが…」
「え」
きょしき…?
フロイド先輩の顔を見上げる。が、満面の笑みで「ん〜?」と言われた。
「あはっ小エビちゃん、オレと結婚しようねぇ」
確かに、付き合ってすぐにフロイド先輩はそう言ったけれど。
「やはり地元の珊瑚の海で挙げるのが妥当でしょう」
「そうなると監督生さんには魔法薬が必須ですね。いっそのこと半永久的に人魚にしてしまうのはどうです」
戸惑う私を他所に、ドンドン話が進んでいく。
フロイド先輩は私を後ろからギュッと抱きしめて、頭にチョンと顎を載せて。
嬉しそうにしている。
…まあいいか。
そう思ってしまった。
END.